こんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- チェーンステッチとは何か?
- チェーンステッチのメリット・デメリット
- チェーンステッチの仕組み
- 家庭でチェーンステッチがやりたいときは?
ジーンズの裾上げと言っても、その仕上げ方にはいくつか種類があります。
前回の記事で取り上げたGUでも裾上げ方法が5種類程あります。
その中でも今回は、ジーンズの裾上げによく聞く「チェーンステッチ」についてご説明します。
チェーンステッチの特徴を知ることで、ジーンズのオシャレの幅がグッと広がります。
チェーンステッチとは?
チェーンステッチは、日本では環縫い(かんぬい)とも呼ばれてます。
ではまず、「チェーンステッチ」の特徴をご説明します。
①:裏側の縫い目が鎖(チェーン)のように見える縫い方
チェーンステッチとは、その名の通り縫い目が鎖のように見える縫い方を言います。
②:表の縫い目はシングルステッチと同じ
チェーン状になっているのはあくまで裏側です。
なので、表からの見た目はシングルステッチ、つまり直線縫いと同じです。
③:チェーンステッチ専用の機械が必要
チェーンステッチは専用のミシンが必要です。
ステッチの構造自体が通常のミシン縫いと違いますので、本縫いミシンではチェーンステッチを縫うことはできません。
ちなみに、チェーンステッチの仕組み、それが出来るミシンについては後ほどご説明します。
チェーンステッチのデメリット
では次に、チェーンステッチのデメリットです。
①:簡単に解けてしまう
ステッチの切れた糸を引っ張ると、スルスル〜っと簡単に解けてしまいます。
そういった意味で、シングルステッチより強度は低いです。
チェーンステッチ最大のデメリットはこれです。
解く目的があるときは気持ちいいんですが(笑)
例えば出先で引っ掛けてスルスル〜っとなってしまったら困りますよね。
②:専用のミシンが必要なので、裾上げ料金が高め
先ほどの特徴でも書いた通り、チェーンステッチには専用のミシンが必要です。
家庭で気軽に出来るものではない、となると、出来るお店に依頼することになります。
前述の理由で、シングルステッチよりチェーンステッチの方が高い料金設定であるのがほとんどです。
※例えばGUでも、チェーンステッチは裾上げサービスの中で一番高い料金設定です。
チェーンステッチのメリットと必要性
そう思いましたか?
チェーンステッチのメリットと必要性は、ちゃんとあるんですよ。
①:折り返した時にステッチが目立つ
糸が絡んでいるぶん、シングルステッチに比べてチェーンステッチは線が太く見えます。
ですから、折り返したときに目立ちます。
よりステッチがジーンズのアクセントになる縫い方と言えます。
②:伸縮性がある
鎖のように編んでいるチェーンステッチは、伸縮性があります。
伸びないデニムはもちろん、ストレッチ性の高い生地にも馴染んでくれます。
いまはよく伸びるジーンズも好まれていますから、機能面でも需要が高いステッチです。
③:【最大の魅力】立体感のあるアタリが出る
チェーンステッチ最大の魅力は「アタリ」ではないでしょうか。
「アタリ」とは、生地の凹凸による擦れなどによって出来てしまう、部分的な色落ちのことを言います。
②でも書きましたが、チェーンステッチには伸縮性があります。
それが穿き込んで洗いこむほど、糸の縮まりなどが起こり、裾の生地の波打ち(凹凸)が大きくなります。
そうすると、擦れなどが起きやすくなり、画像のような部分的な色落ちが顕著に出てくるというわけです。
通常のお洋服では、このアタリは良しとされることはありません。
一般的な洋服と違って、穿きこむほど良い味が出てくるといわれるジーンズ。
ですがジーンズに関しては、この立体感のある「アタリ」が、ジーンズの経年変化を楽しむポイントのひとつとなっています。
おまけ:長い距離を縫うのに便利なチェーンステッチ
これは完全に縫製者目線なので、着用者には全く関係のないお話です。笑
長い距離が縫えるチェーンステッチは、生産効率が高いです。
シングルステッチと呼ばれる直線縫いは、上糸と下糸を交差させて縫います。
この下糸を収納する部分(ボビン)はさほど大きくはありません。
当然、下糸の長さ以上は縫えませんので、その都度下糸交換が必要になります。
画像は家庭用ミシンの上糸とボビンですが、これだけ糸の長さに差があることがわかると思います。
一方、ジーンズで使われるチェーンステッチは二重環縫いと呼ばれる種類ですが、
その下糸は上糸と同じ糸の状態で使うことが出来ます。
それがなにかというと、下糸交換の回数がかなり減ります。
長い距離もガンガン縫えるというわけです。
こうした縫製面でも、理にかなっている縫い方なんですね。
チェーンステッチの仕組み
そう思った人もいるのではないでしょうか。
チェーンステッチの仕組みを絵で表すと、次のようになります。
このように、糸を輪っかにして絡み合わせていくので、スルスル〜と解けていくのです。
ちょっとイメージつかない・・・という人のために、こちらの動画もどうぞ。
こちらは1本糸のチェーンステッチ(単環縫い)ですが、原理は同じです。
動画後半はシングルステッチの動画になっているので、違いが比較できてわかりやすいです。
自分でやるためには、家庭用カバーステッチミシンが必要
チェーンステッチは家庭で気軽には出来ない・・・と序盤で書きましたが、
実は家庭でも出来る方法があります。
それは、カバーステッチミシンを使うことです。
カバーステッチミシンとは、既製品のTシャツなどの裾やえりぐり、裾などに使われている縫い方ができるミシンです。
画像のような裾始末、よく見かけませんか?
表が直線縫いで、裏側がロックミシンのようなかがり縫いになっている縫い方です。
ニット製品によく使われていますね。
カバーステッチミシンは工業用だけでなく家庭用も販売されています。
このミシンがあれば、自分でもチェーンステッチの裾上げが出来ちゃいます。
ただ、家庭用とはいえ精密機器なので、
たまの裾上げだけのために購入するには尻込みする金額です。
普段お裁縫をされる人や、ジーンズやパンツをたくさん裾上げする人は、購入を検討してみてもよいかもしれません。
まとめ
今回はチェーンステッチの特徴とメリット・デメリット、そして仕組みから家庭でやる方法まで、掘り下げてご紹介しました。
裾上げ選びの参考にしていただけたら幸いです。
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