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生地にひと手間『地直し』とは?「必ず必要な作業なの?」「地直しの方法は?」綺麗な作品づくりのために役立つ知識

ネイビーちゃん
生地の地直しってなに?やらなきゃダメなの?地直しの方法は?

 

こんな疑問にお答えします。

 

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この記事の内容

  • 地直しとは何か
  • 地直しが必要な生地と見極め方法
  • 正しい地直しの方法
  • 素材別の地直し方法

 

地直しってなに?

地直しとは、作品の製作前に生地のアイロンがけ等をして、布の歪みを整える下準備のことを言います。

通常は裁断前のまっさらな生地の状態でする作業です。

 

水通しと併せて語られることも多いこの作業ですが、なぜ必要なのでしょうか?

 

地直しが必要になる理由

平織りのイメージ

 

生地は、 縦糸と横糸が垂直になるように編んで作られる『織物』です。

上の画像はそのイメージを描いたものです。

 

ですが、本来垂直に交わるものが、製造過程や巻いたり畳んだりした時に歪んでしまうことがあります。

歪みのイメージ

 

生地が歪んだ状態のまま作品を作ってしまうと、

仕上がりにも影響しますし、

お洗濯や使用による型崩れの原因にもなります。

 

それを防ぐために、タテヨコ糸が歪んでしまっている生地には地直しをする、というわけです。

 

このように、地直しは綺麗な作品づくりのために重要な作業と言えます。

 

地直しが必要な生地って?

 

さて、冒頭の疑問、

ネイビーちゃん
地直しってやらなきゃダメなの?

の回答は、

結局、生地によります!
マミィ

 

では、どんな生地に地直しが必要か、すでにお分かりの人もいるでしょうか。

 

地直しが必要な生地とは、歪みやたるみがあるもの、水通しをした生地です。

 

水通しした生地もその工程で歪みやすいので、仕上げとして地直しが必要になります。

 

逆に、歪みのない生地に地直しの必要はありません

 

なので、まずは生地の歪みを確認してから、地直しをするか決めるとよいでしょう。

 

生地の歪みを確認する

 

まず、生地のタテ糸とヨコ糸が垂直に交わっているか確認します。

 

それによって生地に歪みがあるかどうかがわかります。

 

step
1
生地耳に対して垂直にカットする

 

まず、生地の耳に対して垂直に裁断します。

 

step
1
ヨコ糸を1本だけ抜く

ヨコ糸を引き抜くイメージ

 

次に、上の方のヨコ糸を1本だけ、ツ〜っと抜いていきます。

 

実際は一度にスッと引き抜くことは難しいと思います。

織り糸一本一本はそこまで強度がないので、無理に引っ張るとすぐ切れます(泣)

 

目打ちを使って少しずつ、引き抜くイメージで抜いてみてください。

 

step
3
タテ糸と引き抜いたヨコ糸の交わりを確認する

 

 

ヨコ糸を引き抜いた画像がこちらです。

 

はじめに垂直でカットした部分に対し、ヨコ糸のラインがズレているのがわかるでしょうか?

 

タテ糸とヨコ糸が垂直に交わっていない=歪みがあることが確認できました。

 

  • 画像では差が分かりやすいように糸を端まで抜いてフリンジ状になっています。ですが本来はヨコ糸1本だけ抜けば大丈夫です。
  • また、両耳を見やすくする為に生地の間の部分は畳んで撮影しています。

 

地直しの方法

 

水通しが必要な生地の場合

 

  1. 水通しをして生乾きの状態にしてから
  2. 地直し

 

上記の順番で生地の下準備をします。

 

布目を通す

 

先ほど引き抜いたヨコ糸の線に沿って生地を裁断します。

(タテ糸の出ている部分をカットするということです。)

 

 

裁断したら垂直に置き直します。

 

これでタテ糸とヨコ糸が垂直になりました。

 

この作業を「布目を通す」と言います。

 

スチームアイロンで生地のたるみを整える

 

ヨコ糸を垂直に置き直しただけの生地は、よく見ると位置をずらしたことによりたるみが生じています

 

 

この生地も少したるみが出来ているのがわかるでしょうか。

 

これを、生地の裏面からスチームアイロンをかけて平らに収まるよう整えていきます。

 

アイロンはタテ方向、ヨコ方向にかけていきますが、

必要に応じて斜めに引っ張ったりしながら少しずつ整えます。

 

ネイビーちゃん
ヨコ糸の線が真っ直ぐアイロン出来ているか不安・・・
そんなときは方眼目盛り付きアイロン台や、方眼目盛りプリントのアイロン台補修布
を使うとやりやすいですよ。

即席でよいという方は、アイロン台全体がかかる大きさの当て布を用意します。そこにチャコペンで直線を引いたものを台の上に乗せて使ってみてください。

マミィ

 

地直し完了

 

お疲れ様でした。

 

布目とプリント柄がズレている生地の場合

 

プリント柄の生地の場合、布目を通しても、柄がズレている場合があります。

 

そのようなときはどうするのでしょうか?

 

  • ズレがわずかな場合・・・そのまま布目に沿って裁断するか、柄合わせをきっちりしたいときは柄に合わせて裁断する
  • ズレが大きい場合・・・洋服に使用することは避け、柄に合わせて裁断する

 

どこまでこだわるかにもよりますが、

 

正直、わずかなズレであればあまり気にすることはないように思います。

 

大きなズレの場合はお洋服作りに使用することは避けた方が無難です。

そのような生地は、バッグやポーチ等の雑貨類の製作でしたらそこまで歪みが気になることはないはずです。

 

ちなみに、今回の生地は清原株式会社さんのクラシカルモダンというオックス生地を使用しました。

この生地もよく見ると、わずかに柄がズレているのがわかります。

(ギンガムチェックなので余計目立ちやすいのかもしれません。)

ただ、ズレはわずかな事と、オックス生地ということもあり、製作するものはレッスンバッグなどの雑貨類を予定しています

 

なので、裁断による出来上がりの影響はほとんどありません。

 

キヨハラさんの生地は日本製で品質も良いのでおすすめです。

 

【素材別】地直しの方法

 

では最後に、素材別の地直し方法をご紹介します。

 

いずれの素材もあて布を用意しましょう。

 

ウール(羊毛)

 

ウールは洗濯タグには「毛」として表記されていることも多い素材です。

 

  1. 中表になるように2つ折りにし、生地全体に水を霧吹きで吹きかけます。
  2. 生地を大きめのビニール袋に入るくらいまでたたみ、湿気がなじむよう1時間ほど置きます。
  3. スチームアイロンをかけます(裏面から)。毛がつぶれないように、押し付けないようにアイロンしましょう。
  4. わずかに湿気が残っている段階でアイロンをやめたら、あとは自然に乾くまで待って裁断します。

 

毛足のあるもの(ベルベット・コーデュロイ等)

 

毛足のある布地は、毛足がつぶれないように地直しをします。

 

アイロンは、水に弱いベルベットはドライ、コーデュロイはスチームといったように、素材に応じてモードを使い分けます。

 

  1. 生地を中表にして、毛足を噛み合わせるようにします。
  2. 毛並み(毛の生えている向き)に合わせて軽くアイロンをかけます。折りジワを取る程度で大丈夫です。

 

シルク(絹)

 

シルクは熱に弱く、水に浸けると光沢を失ってしまいます。

とてもデリケートな素材です。

 

  1. 必ずドライアイロンで、温度は120°くらいの低温モードに設定します。アイロンに絹の表記がある場合はそちらの設定でも大丈夫です。
  2. 裏面から折りジワを取る程度にかけながら布目を直します。

 

化学繊維(ポリエステル・ポリウレタン・ナイロン・レーヨン・キュプラ等)

 

化学繊維の生地は水で縮まない生地が多いですが(レーヨンは例外)、熱には弱いです。

 

  1. ドライアイロン(必要によってはスチームアイロン)で、生地に応じて低温〜中温モードに設定します。
  2. 裏面から折りジワを取る程度にかけながら布目を直します。

 

ニット

 

ニットなどの伸縮する生地は、伸びる特性上どうしても歪みやすいですが、反面なじみやすさもあります。

ズレをあまり気にしすぎなくても良いかと思います。

 

綿や麻など縮みやすい素材の場合は水通しします。

生地をなるべく伸ばさないようにアイロンをかけて布目を直します。

 

 

まとめ

 

メーカーによっては服地用に生産され、地の目をきちんと整えられた状態で販売されているものもあります。

 

そのような生地は下準備いらずですぐ裁断に移れますので、

 

そういったことも布選びのポイントにしてみてもよいかもしれません。

 

生地を買うとワクワクしてすぐ裁断したくなるものです(笑)

 

その気持ちを少しだけおさえて、一度生地とじっくり向き合ってみていかがでしょうか。

 

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